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ノルウェーの技術でもっと健康な老後を

11月4日, 2020
By The Explorer

KOMP/孤立しない生活

高齢者は往々にして、慢性的な痛みや加齢に伴う病気を抱えています。ノルウェー発の新しいテクノロジーを使うことによって、治療効果を高めることが出来ます。それと同時に、国の医療費も削減することが出来るのです。

人々の寿命は延び続けています。これは喜ばしいニュースですが、それは医療サービスを必要とする人が増えるということでもあり、予算の増加がこれに追い付いていない可能性もあります。ノルウェーでは、技術の進歩と有効性の向上によってこの問題に対処する取り組みが増えています。

ここでは、高齢患者の生活をより健康的で質の高いものにするノルウェーの優れたイノベーションをいくつか紹介します。

連絡先

Innovation Norway Japan

Dignio社:自立と安心を提供する遠隔医療

一般に患者が高齢化すると、医療スタッフはより頻繁に経過観察をしなければなりません。たとえば、定期的な血液検査や肺機能検査が必要になり、毎日の投薬も不可欠です。

これでは患者にも医療サービス提供者にも負担となります。患者としては1日の多くを医療機関の予約を中心に組み立てなければなりませんし、医療サービス側では貴重な時間と医療資源をルーティンの経過観察に費やすことになるからです。

しかし、ノルウェーのDignio社が開発したソリューションを用いれば、患者は自分自身の健康チェックを自宅から行うことができ、医療機関の予約の必要性を減らすことができます。

この会社が開発した装置を用いれば、患者自らが体温、血圧、酸素飽和度、血糖値、体重、肺機能と肺活量を測定することができます。測定結果は、患者のタブレットの中のMyDignioアプリに自動的に送られ、患者と医療担当者の双方から見ることができます。必要な場合には、医師や看護師が患者に連絡をとって、測定結果について話し合います。

Dignio社の自動投薬装置によって、患者は正しい投薬量を正しい時間に摂取することが出来ます。

Dingo社はまた、患者が薬を正しく服用しているか遠隔でモニターする装置を提供しています。この装置は、投薬の時間がきたら患者に知らせて、適切な投薬量を処方します。

ノルウェー第2の都市ベルゲン(Bergen)では、すでにこのソリューションを使用しています。健康・安心モニターが発するアラートに対応する市のセンターで看護師として働くリスベット モルテンセン(Lisbet Mortensen)さんは、次のような成功事例を紹介してくれました。

「ある男性患者は、自分の生活を取り戻すことができたと言っています。自動投薬装置を使い始めて、この患者さんは投薬を自分で管理できるようになりました。アラートを受けて正しい時間に薬を服用するようになった結果、患者さんの健康は徐々に改善しました。今では自立した生活を送れるようになっています。

私たちにしてみれば、患者の服薬を確認するための訪問診療を行う必要がなくなったことになります。この装置は、患者の家族にとっても非常に役立っています。

自分たちの身近な人を世話する余裕がないと感じている人はたくさんいます。この投薬装置は、そういった人々に安心感を与え、医療スタッフに頼らずに家族の面倒をみる機会を提供しました。この装置によって、こうした人々の生活にゆとりが生まれているのです」。Mortensenさんはこのように語ります。

RoomMate社:患者の自宅での生活をより安全に

認知症や筋消耗を患う高齢者には、家族や医療スタッフの継続的な監視が必要です。このことは、患者自身のプライバシーに影響を与えるだけでなく、家族や医療資源の時間と能力を消耗させることになります。

幸いなことに、対応にあたっていくつかの選択肢があります。ノルウェーのRoomMate社は、危険な状況をセンサーで察知して自動的にアラートを発する装置を開発しました。この装置は、患者の自宅や部屋に置くことが出来ます。たとえば患者が転倒した時に、この装置が医療スタッフに知らせて、その場にいなくてもアラートを受け取ることが出来ます。

人口1万4千人のバンブレ(Bamble)市では、4年以上も前からRoomMateを使用しています。

「最初にこの装置を使ったのは、1人のALS患者でした。患者の家族は患者を1人で家に置いておくことを不安に思っていたため、私たちはRoomMateセンサーを2つ設置しました。このことで患者は、先の見通しを立てながら毎日を暮らせるようになり、より大きな自由を手に入れたのです」

こう語るのは、バンブレ市で福祉技術アドバイザーを務めるニコライ ヴェルフラー(Nicolai Welfler)さんです。

患者の生活の質が速やかに改善しただけでありませんでした。市としては、介護施設への資金支出が必要なくなったのです。

ヴェルフラーさんは言います。「RoomMateを導入したことで、この患者さんは更に2年間長く家で過ごすことができました。市としては、介護施設の部屋代180万ノルウェー・クローネが節約できました」

最初の導入事例が好結果であったため、バンブレ市では規模を拡大してRoomMateを使用しています。

ヴェルフラーさんは言います。「私たちは、何人かの認知症患者の家庭にRoomMateを設置しています。また、支援付き住宅にセンサーを取り付けることも考えています。こうすることで、夜間シフトのスタッフの管理負担が改善され、大きな安心感が生まれます。患者さんの生活もよりスムーズになるでしょう」

ヴェルフラーさんは、RoomMateが個人のプライバシーを侵害するのではと心配する人々の不安に応えて、次のように締めくります。

「この装置に使われている技術では、データは保存されず、短時間後に消去されるようになっています。またデータが収集されたり、分析されたりすることはありません。医療サービス担当者が部屋や家に四六時中滞在するよりも、個人のプライバシー侵害度は低いと思います」

KOMP:高齢者の孤独と闘う

あなたとおしゃべりすることが、あなたの祖母の健康にどのような効果があるのでしょうか。年をとるにつれて、社会的なつながりは衰退していくものです。高齢の友人は亡くなり、家族は離れて行ってしまう。これによって、孤独感、孤立、抑鬱のリスクが高まります。どれも健康全般と生活の質に大きな影響を及ぼす要因です。

アンネ リーセ リューエル(Anne Lise Ryel) ノルウェーがん協会事務局長

Agnete Brun

活動的な社会生活に代わる薬はありません。しかし、ノルウェーの企業No Isolationが提供するKOMPを使えば、その人の持つネットワークの力をより簡単に最大限引き出せるようになります。高齢者の多くはソーシャルメディアを使うことができないか、使うつもりがないかのどちらかです。KOMPはシンプルかつ直感的に操作可能な社交ツールです。使用にあたってデジタルスキルは必要なく、あらゆる世代の人々がコミュニケーションできるように設計されています。

高齢者の多くは、現代のテクノロジーからの疎外感を感じています。しかし、KOMPの操作はとてもシンプルで、右と左の区別ができれば使用可能だと言えるほどです。

「ノルウェーがん協会は、過去3年にわたり、高齢がん患者やその家族にKOMPを無償で貸し出してきました。そのユーザーへの効果は絶大です。

「KOMPによって生活が大きく変わったと、ユーザーの多くが言います。多くの友人を失った高齢者が、新しい社会生活を始めているのです」。こう語るのは、ノルウェーがん協会事務局長のアンネ リーセ リューエル氏です。

KOMPは小型テレビとタブレットを合体したようなもので、画面とオン・オフボタンを兼ねる音量調節ボタンがついています。顧客層に受け入れられやすいように、昔ながらのラジオから着想を得たデザインを採用しています。

家族や友人は、アプリを使ってKOMPのビデオ通話を開始します。また写真を送って、KOMPの画面上で一定時間見られるように出来ます。こうすることによって、高齢者は家族の日常生活に参加することが出来るのです。

KOMPを使うことで、高齢患者の生活が改善され、健康状態もよくなるとノルウェーがん協会では確信しています。

リューエル氏は次のように締めくくります。「社会的なつながりを持つのはよいことです。KOMPを通じて家族とのつながりが増え、生活の質が改善されます。心の健康が高まれば身体の健康も向上し、ストレスと緊張を上手にコントロール出来るようになります」