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世界に先駆ける「北海テストセンター」が浮体式洋上風力発電の未来を担う

11月13日, 2020
By The Explorer

洋上風力発電所によって、ヨーロッパは化石燃料への依存から解き放たれることになるでしょう。現在、様々な企業がノルウェーに集結し、カルモイ(Karmøy)テストセンターで自社の洋上風力発電の試験運転を行っています。

ヨーロッパおよび世界全体において、洋上風力発電は将来のエネルギーミックスの重要な要素の一つとなることでしょう。欧州委員会の推計によれば、ヨーロッパが気候中立(climate neutral)を達成するためには、2050年までに洋上風力発電によって450ギガワットもの出力を実現しなければなりません。洋上風力発電の発電規模は、今のところ全世界で23ギガワットとされています。したがって、将来的に発電規模が20倍に増加することが必要になります。

洋上風力発電の均等化発電原価を下げるためのソリューションが、決定的に重要になります。このことは、革新的なエネルギー企業にとって極めて大きなビジネス機会があることを意味し、そうした企業の多くが、ノルウェー西部の沖合にあるカルモイ島にやって来て、自社の提案するデザインの実証試験を行っています。

そうした企業の向かう先が、「海洋エネルギーテストセンター(メットセンター(Metcentre))」です。そこには、洋上風力のコンセプトを北海上で実証試験するためのインフラとサービスが整っています。

Zefyros(ハイウィンド・デモ)

Fride Moen

卓越した知見と顧客志向

浮体式洋上風力発電は比較的新しい分野ですが、メットセンターには輝かしい実績があります。2009年にエクイノール(Equinor)社が、世界初の浮体式風力発電「ハイウィンド・デモ」をこの場所に設置しました。これを最初のステップとして、2017年には世界初の浮体式洋上ウィンドファーム「ハイウィンド・スコットランド」が稼働を開始しました。このウィンドファームは、今では英国国内の3万6千世帯に電力を供給しています。

Solution fromOrigo Solutions AS

SCADA system for floating offshore wind farms

次世代型の浮体式洋上風力発電の開発がメットセンターで進行中です。

その1つがデンマークのStiesdal社の テトラスパー(Tetra Spar) というコンセプトで、これはShell社およびInnogy社と共同で開発されました。テトラスパーは低コストの浮体式洋上風力発電のプラットフォームで、将来的には浮体式洋上風力発電の均等化発電原価を着床式洋上風力発電の原価近くまで下げることができます。浮体式と較べて着床式の発電コストは廉価ですが、選択肢が限られています。

「我々がメットセンターでの試験を選択したのは、メットセンターでは面倒な行政手続を整理し、官庁や他の利害関係者に対して貴重なサポートを提供してくれるからです。他所と較べて、ここでは行政面での手間が遥かに少なくて済みます」。こう語るのは、Stiesdal社の創業者兼CEOのヘンリック スティースダル (Henrik Stiesdal) 氏です。

この会社では、2021年中にメットセンターのテストエリアに試験モデルを設置し、少なくとも5年間は活動を継続する予定です。

「このセンターは、様々な形でサポートをしてくれました。官庁への対応がその最たるものですが、地元の関係者やサプライヤーとのコンタクトも調整してくれます」

スティースダル氏は更に次のように言います。「このセンターは極めて質の高い活動を行っています。しかもそれは、非常に顧客志向でもあります」

北海に浮かぶ円柱ブイから揚がるMakani社の風力発電カイト

先進的なHorizon 2020プロジェクトの実施拠点

この他にも、メットセンターを活用した未来志向のプロジェクトがいくつかあります。2021年には、テトラスパーにスウェーデンのSeaTwirl社による革新的な浮体式風力発電のコンセプトが加わります。またカリフォルニアに本拠を置くMakani社は、画期的な風力発電カイトをすでにこの場所でテストしています 。 今年の春、浮体式洋上風力発電のFLAGSHIPプロジェクトが、Horizon 2020の助成枠から2,500万ユーロの資金供与を受けました。メットセンターで実証試験が実施される予定です。このプロジェクトは、浮体式洋上風力発電の均等化発電原価を、2030年までに1メガワット時あたり40~60ユーロに下げることを目指します。

メットセンターでジェネラルマネージャーを務めるアーヴィッド ネッセ(Arvid Nesse)氏は次のように語ります。「このプロジェクトには、新しいタイプのコンクリート製浮体基礎が使われます。現在の浮体式風力タービンには、最大規模のもので約8メガワットの出力がありますが、この基礎を用いれば、出力10メガワット以上、おそらく20メガワットまで出せる更に大きなタービンを設置することができます」

このコンクリート製浮体基礎は、ノルウェーのDr.techn. Olav Olsen社によって開発されました。プロジェクトを率いるのはスペインのエネルギー企業のIberdrola社で、デンマーク、フランス、ドイツ、ノルウェー、スペインから様々なパートナーが参加しています。

ネッセ氏はさらに次のように語ります。「Horizon 2020からの助成金は、ノルウェーの海洋産業が再生可能エネルギーのための新技術を再構築し、そのノウハウを活用する能力があることを認める重要なものです。」

Solution fromDr.techn.Olav Olsen AS

Floating offshore wind turbines

世界トップレベルのサプライチェーン

メットセンターは北海にあるテストエリアから約10kmしか離れていないため、洋上風力発電のソリューションをテストするには最高の場所にあります。さらにカルモイは、浮体式および着床式の海洋設備に関して世界トップレベルの専門性を持つノルウェーの海洋産業の地理的な中心地でもあります。

メットセンターは「ノルウェー洋上風力発電クラスター(Norwegian Offshore Wind Cluster)」に属しています。このクラスターは、浮体式洋上風力発電のための世界最強のサプライチェーンを構築することを目指しています。122のメンバーからなるこのクラスターには、浮体式風力発電のバリューチェーンを構成する諸分野の専門企業および再生可能エネルギーに投資する海洋産業セクターの大企業が集結しています。

我々は必要とされる全ての能力を集めています。風車の基礎、ケーブル設置、運転、メンテナンス、法務対応など、風力発電のバリューチェーンのほぼ全体をカバーするプレーヤーが我々の周りに集結しています。

アーヴィッド ネッセ(Arvid Nesse)氏(ノルウェー オフショア ウィンド クラスターおよび メットセンター)

このクラスターは、6月24日に浮体式洋上風力発電の国際会議を開催しました。世界各地からの参加者のためにオンラインで開催しましたが、ノルウェーの参加者は会場での直接参加が可能でした。

ネッセ氏は言います。「このクラスターは、ノルウェーのサプライチェーンを拡張するために活動しています。イノベーションを起こし、コンセプトと技術の検証によってコストを削減することが、活動の重要な部分となります。我々はまた、産業としての浮体式洋上風力発電をノルウェーにおいて開拓する活動もしてきました。ハイウインド タンペン (Hywind Tampen)、ウトシラ ノード(Utsira Nord)および セーリゲ ノードショー II (Sørlige Nordsjø II)といったプロジェクトは、ノルウェーの洋上風力発電産業にとって非常に重要なものとなることでしょう。さらに、このクラスターのメンバー企業は、互いに協同して風力発電の国際マーケットへの進出を目指しています」

ネッセ氏は、ノルウェーの浮体式洋上風力発電には輝かしい未来が訪れると考えています。

そしてネッセ氏は次のように締めくくります。「当初はやや動きが鈍かったのですが、今や関心が大いに高まりました。我々の狙いは、浮体式洋上風力発電の世界トップレベルのサプライチェーンになることです。そして今がその時なのです。というのも、ノルウェーはこのマーケットで非常に有利な位置にいるのですから」

Solution fromCranemaster - Ernst-B. Johansen AS

Ensuring safe, efficient installation of offshore wind farms