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ノルウェーがロングシップで世界を迎える

5月30日, 2022
By The Explorer
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ノルウェーのバイキング船と言われたロングシップが再び出帆しようとしています。「気候変動は現代の最も大きな課題の1つであり、我々はその解決の一端を担っています。Longship(ロングシップ)は、そのソリューションの一部です」と、Gassnova* のCEOであるRoy Vardheim氏は言います。「現在、Gassnovaとその産業パートナーは世界諸国を歓迎しています」。

*Gassnova社はノルウェー石油エネルギー省傘下の国有企業

バイキング達の成功において、ロングシップは重要な役割を果たしました。船体の長さから、浅海と深海の両方で高速の長距離航行が可能だったと考えられています。優れた造船技術によって、ノルウェー人は長年にわたり海上での優位を保つことができ、世界随一の海洋国家となりました。ノルウェーの産業で最も意欲的な気候プロジェクトのLongshipという名称は、バイキング時代までも遡り、歴史的経緯から決められたものです。

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オープンアクセスのプロジェクト

Longshipは、ヨーロッパ大陸中からの膨大な量のCO2を貯留できるオープンアクセスのインフラを展開するための、初の炭素回収・貯留の商業プロジェクトの1つです。また、Longshipは、我々の気候目標の達成において決め手となることが証明され得る技術の一種でもあります」とVardheim氏は言います。

炭素の回収はLongshipの第1段階に過ぎません。回収したCO2は液体に凝縮された後、ノルウェーとヨーロッパの回収現場から受け入れターミナルへと輸送され、パイプラインを通って汲み出し、沖合の坑井に注入されます。液体となったCO2は、最終的に海底から2~3キロの深さで貯留・密閉されます。

いつの時代もノルウェー人は海で生計を立ててきました。ここ数十年でノルウェーで開発された技術は、超硬水など多くの要件がある水においても機能を発揮し、価値を創造できます。現在では、洋上での経験と海面下作業における技術の豊富さを新しい方法で利用できる状態になっています。

エキサイティングな技術の旅

ノルウェーは炭素回収・貯留(CCS)に早い段階から乗り出しています。2005年以来、GassnovaはCCSに取り組んでおり、それは研究開発から工業規模への拡大のあらゆる段階に及んでいます。Gassnovaの主な目標は、自社のパートナーとの知識共有や経験伝達によって技術開発およびコスト削減し、CCSの展開を支援することです。

ノルウェーの本格的なCCSプロジェクトは、ノルウェー政府、政府機関、研究開発機関、学会、産業パートナー間で、ユニークで長期的な連携から立ち上がったものです。現在、この本格規模CCSプロジェクトには「Longship」という名前があり、商業化を目指して展開されつつあります。

「専門技術と当社の産業パートナーの緊密な連携なしでは、Longshipは実現不可能だったでしょう。Longshipの成功は貴重な関係性によるものです」とVardheim氏は言います。

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最初の坑井の穴開けが完了

北海では既に最初の坑井が開けられており、それが海底下の貯留コンプレックスへのCO2注入に使用されることになっています。この坑井はNorthern Lightsプロジェクトの1つの形です。これは、Equinor、Shell、 Totalという大手エネルギー企業3社の共同プロジェクトであり、協働を通じて気候の難題に向けたソリューションを展開しています。大規模なLongshipプロジェクトの一環として、Northern Lightsでは、ヨーロッパの回収拠点からノルウェー西海岸のBergen付近にある専用の受け入れターミナルまで、タンカーで回収したCO2を輸送し、貯留することになっています。

「企業や各国がネットゼロストラテジーの実践を始めるにつれて、炭素回収や貯留容量の需要への関心が急速に高まっています。Northern Lightsは、ノルウェーおよびヨーロッパの市場需要にその目標を合わせています。我々は、ノルウェーの貯留容量に期待するいくつかの様々なセクターからCO2を受け入れる場所として、自分たちを位置づけています。この技術がなければ世界の気候目標の達成がほぼ不可能となるため、そのポテンシャルはとても大きいのです」と、Northern Lightsの最高業務責任者であるBørre Jacobsen氏は言います。

Northern Lightsは、従来には見られなかった国境を超えたオープンアクセスの炭素輸送・貯留インフラネットワークとなり、ヨーロッパの産業排出国に、自国のCO2を地下で永久的に貯留する機会を提供します。このプロジェクトは2024年にオンライン上の取り組みを開始する予定となっており、年間で最大150万メトリックトンのCO2を輸送・注入・貯留することになっています。容量は、1年間で500万メトリックトンまで徐々に拡大します。

知識と学びが皆に有益となる

Longshipプロジェクトでは、パートナー間での経験共有によるCCS技術についての知識の向上、展開の促進、大規模なCCSが実施可能であることの実証などを行います。このプロジェクトの最終目的は、ノルウェーとEUの長期気候目標を低コストで達成することです。

また、ノルウェー政府はLongshipに対して次の4つの効果目標も定めています。

  • 本格規模のCO2管理を安全に実施できることを示す知識の提示
  • 学びとスケール効果を通じた、将来のプロジェクトに向けた生産性増大の提示
  • CO2管理活動の規制と奨励に関する学びの提示
  • ビジネス展開の促進