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ノルウェーはどのように洋上風力発電を リードしているのか

2月25日, 2022
By The Explorer
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Hywind Scotland Roar Lindefjeld/Wolcam/Equinor

世界が気候目標を達成しようとすれば、洋上風力発電の増加が不可欠です。ノルウェーは、海運と海洋に関する専門知識を備えているため、この急速に成長する市場で大きなシェアを占めることができる独自の立場にあるのです

欧州委員会は、気候の中立性を達成するには、欧州の洋上風力発電で2050年までに300GWの発電をしなければならないと見積もっています。世界的には、海洋再生可能エネルギー連合が2050年の現実的な目標として1400GWの洋上風力発電を見込んでいます。

今日、設置されている洋上風力の発電容量は、全世界で総計約29GWになります。したがって、洋上風力発電産業では今後30年間で50倍の成長が見込まれます。

「世界では、洋上風力発電のバリューチェーンの急速かつ包括的なイノベーション、投資、および拡大が必要とされており、ノルウェーはそれに向けた準備が整っています」と、Equinorの洋上風力発電プロジェクトのディレクターであるArne Eik氏は言います。

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Arne Eik

洋上風力発電プロジェクトディレクター

Equinor

「簡単に言えば、海上建築に関する経験やスキル、そして知識を独自に蓄積していることがノルウェーの強味です」

「洋上風力発電を支えるテクノロジーとエンジニアリングは、陸上の風力発電所よりも、石油・ガスのプラットフォームと共通する部分が多くなっています。石油・ガスに比べると、洋上風力発電への技術や要件との間には明らかに違いがありますが、本質的には、大きなプロジェクトの洋上建設と運用、そしてそのために必要なすべてのことを行うことです」とEik氏は言います。

洋上の経験から構築される洋上風力発電のバリューチェーン

Equinorは、数十年の洋上エネルギー開発の経験を持つ、洋上風力発電の世界的な大企業です。同社は世界初の浮体式洋上風力発電を開発し、また、着床式洋上風力発電市場でも急速に地歩を固めています。

Equinorと同様に、ノルウェーの他の企業と産業クラスターもそれぞれの洋上ノウハウを利用して、世界の洋上風力発電市場での立ち位置を築いています。

「洋上の石油・ガス産業から洋上風力発電に移行できるスキルは数多くあり、それは、過酷な環境向けの浮体基礎、係留、アンカー留めとアンカーライン、地質工学調査、保守、サービス船などのあらゆる内容に及びます」とEik氏は指摘します。

「ノルウェーには、洋上風力発電設備の計画から建設に至るまでの全プロセスにおいて、熟練した施工業者がいます。ノルウェーの洋上風力発電産業には、タービンの製造を除いたバリューチェーン全体で競争できるポテンシャルがあります」と彼は言います。

Knut Erik Steen氏は、ノルウェーのエネルギー産業の国際化推進組織であるNorwegian Energy Partners(ノルウェーエネルギーパートナー)(NORWEP)の風力発電ディレクターです。ノルウェーの洋上ノウハウの幅広さが、いかに自国の競争力を高めているかを、彼は説明します。

「ノルウェーには、海運・洋上の設置および物流分野で信頼の厚い、数多くの機器メーカーや船舶事業者、サービス提供者があります。これには、AxessCranemasterDeepOcean、そしてKongsteinNorsea Groupのような企業が含まれています」

「さらに、Nexans4Subsea、そしてAibelAker Solutionsのような施工業者とシステムインテグレーターは、海底設置用のケーブルシステム・監視ソリューションの世界的なプロバイダーです」

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Knut Erik Steen

風力発電ディレクター

NORWEP

「洋上セクター内で、ノルウェーは計装分野のリーダーとして国際的に認知されており、これは洋上風力発電市場にもまさに当てはまります」

「ノルウェーの洋上産業では、言葉さえ存在しない頃から『デジタルツイン』を運用しており、また、海事機器の長寿命化でも最先端の技術を擁します」

「さらに、Ulstein、KONGSBERG、LMG Marin などの企業が、オフショア作業用の船舶や海事機器のサポートに関する主要な専門知識を提供しています。」とSteen氏は言います。

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洋上風力発電所向けのSOV (service operation vessel)Windea Jules Verne号

Ulstein/Marius Ertesvåg

浮体式洋上風力発電のパイオニアであるノルウェー

こういった競争力のある多くの発展を成し遂げたことで、ノルウェーはまさしく浮体式洋上風力発電のパイオニアになりました。世界初の浮体式風力発電であるHywind Demoが国内に設置されたのは2009年のことです。2017年にはEquinorが世界で初の本格的な浮体式風力発電所であるHywind Scotlandを稼働しました。また、ノルウェーは世界最先端の浮体式風力発電ソリューション試験施設も擁しています。

「これらのプロジェクトは、ノルウェーの洋上風力発電のバリューチェーンに非常に大きな影響を及ぼしています。NTNUSINTEFベルゲン大学Marine Energy Test Centre(海洋エネルギー試験センター)と提携した当社の研究と、エコシステムの試験は非常に強力なもので、洋上風力発電のバリューチェーン全体の関係企業にソリューションの開発、試験、スケールアップの機会を与えています」とEquinorのEik氏は言います。

「この取り組みは結果を出しています。例えば、ホライズン2020プログラムにてOlav OlsenのFLAGSHIP(フラッグシップ)プロジェクトが採択されたのは素晴らしいことだと思います。低コストで拡張性のあるコンクリートベースの基礎を作るという取り組みが成功すれば、世界中の関心を集められるでしょう」

Equinorについて言えば、同社は着床式および浮体式風力発電市場の両方で重要な地位を築きつつあります。北海において、現在同社は世界最大の着床式洋上風力発電所であるDogger Bank、そして世界最大の浮体式洋上風力発電所であるHywind Tampenを開発中です。

Hywind Tampenの目的は、浮体式風力発電のスケールメリットを享受することであり、これはコスト削減の鍵になります。最初のHywind Demoと比較して、Hywind ScotlandではすでにMWあたりのCAPEXが70パーセント低下しています。Hywind Scotlandと88MWのHywind Tampenの間では、さらに40パーセントの削減を見込んでいます。」と彼は言います。

浮体式風力発電のリーダーとしてその地位を固めながら、Equinorは着床式洋上風力発電のセグメントでも前進しています。

SSE RenewablesENIとのジョイントベンチャーを通じて、当社はDogger Bank風力発電所を建設中で、英国の600万世帯にクリーンエネルギーを供給する予定です。これは、、あらゆるタイプの洋上風力発電所としては世界最大となります」とEik氏は言います。

「また、当社は最も有名な米国の洋上風力発電プロジェクトのいくつかを手掛けています。私たちの目標はエネルギー転換期におけるリーディングカンパニーになることです。。世界的な洋上風力発電の大手企業として、米国の東海岸、バルト海、そして北海に重要な洋上風力発電所クラスターを建設しています」

浮体式風力発電におけるノルウェーの主導的地位を確固たるものにする

ノルウェーの企業は、浮体式洋上風力発電の開始以来、この分野をリードしてきました。。

「例えば、Hywind Scotlandの建設では、全作業の30~40%をノルウェーの施工業者が実施しました。しかも、この数字はノルウェーで製造されたタービンがないことを考慮しています」とEik氏は言います。

しかし、市場が成長して浮体式風力発電ソリューションの規模が世界的に拡大するにつれて、他のプレイヤーが台頭してくるのはは避けられなくなります。

それでも、ノルウェーはその主導的地位を維持する可能性は十分にあります。コンサルタント企業であるMenon Economicsの最近のレポートによると、特に、効果的な政策手段を導入し、先行者利益を活用すれば、ノルウェーは2050年に世界の浮体式風力発電市場の20%を占めることが可能であるとしています。

「浮体式風力発電市場のシェア20%獲得は非現実的と考えていません」とEik氏は言います。「我々は10年以上にわたって浮体式洋上風力発電に取り組んでおり、規模の拡大と経験から、大幅なコスト削減が達成できると見込んでいます。それを通じて、浮体式風力発電の本格的な商業化への道を開くと見ています」