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ノルウェーの世界一高い木造建築

3月25日, 2022
By The Explorer
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ANTI Hamar

スチール並みの強度とコンクリート並みの耐火性を持ちながら、極めて環境に優しい。そんな木材が今、高層建築に使用されています。

ノルウェーは、面積あたりの人口が少ない国です。従って、貴重な都市空間を節約するために高層建築を建てる必要はあまりなかったのです。けれども『革新的な代表建築』という点ではノルウェーは抜きん出ています。そして現在、ノルウェーには世界一高い木造建築物が誕生しました。

オスロから北へ2時間のところにあるブルムンドダール (Brumunddal)という町は、人口1万人ほどの町です。この町は現在、地球で最も環境に優しい高層建築物の1つを誇っています。

ミョーサ(Mjøsa)湖畔にあるので、Mjøstårnet(ミョーサタワー)と名付けられたその建物は、高さが85.4mあり、ニューヨークの自由の女神像より約8m低いことになります。この革新的なタワーは、地元で調達できる資源で高層建築物を建てられることを証明しています。木造建築材料を納入したMoelven LimtreAS社の本社は、建設現場から北にわずか数キロのところにあります。

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ミョーサタワーは、世界一高い木造建築物として認定されています

ANTI Hamar/Moelven Limtre AS

ミョーサタワーは2年かけて建設され、2019年3月に完成しました。この18階建ての建物から、田園風景とノルウェー最大のミョーサ湖が見渡せます。4階分のオフィススペース、33室の集合住宅、72室のホテル、レストラン1店舗、そして共用の屋上テラスが入っています。隣には市営屋内プールが建てられ、同じく木造となっています。

これらの建物にコンクリートやスチールはほとんど見当たりません。コンクリートが使用されているのは、基礎、1階の床、そして最上階のみとなっています。スチールは小梁にしか使われていません。建物の他の部分は、主にノルウェースプルースで構成されています。

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木材は、元となる樹木の炭素を蓄え続けています

ANTI Hamar/Moelven Limtre AS

強く、環境に優しい集成材の梁

スチールとコンクリートは優れた建築材料ですが、大きな環境コストがかかります。また、全世界のスチールおよびコンクリートの生産が世界の炭素排出量の約6分の1を占めています。建築材料として木材を使用すれば、この排出量が劇的に削減されます。

例えば、鉄骨の梁の製造には、集成材の梁の製造に比べて約2~3倍のエネルギー、そして6~12倍の化石燃料が必要です。また、他のあらゆる建築材料とは対照的に、木材は100パーセント再生可能です。さらに、木材ベースの製品は、その元となった樹木が吸収した炭素を「閉じ込める」ことさえできるのです。

気候変動に着目すると、木には絶対的な優位性がありますが、構造的完全性に目を向けた場合、果たして他の建築材料と競合できるのでしょうか。

ミョーサタワーは、木材が気候に優しいだけでなく汎用性を備えていることを証明しています。このタワーは主に、スプルースの小さな板材を構造用接着剤で接着して製造する集成材を、柱や梁に使用して建設しています。集成材は過酷な気象や地震に耐え、コンクリートに匹敵するほどの耐火性があることが明らかになっています。

また、木造建築が健康を促進することを示す研究も数多くあります。木造建築は室内の空気環境を改善し、木材の美的・物理的特性はストレス解消に役立つとされています。また、多くの人が、木の方が見栄えがよく、周囲の環境と調和していると考えています。

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木は再生可能な建築材料であり、室内の空気環境を良好に保ちます

ANTI Hamar/Moelven Limtre AS

革新的なプレハブ建設

ミョーサタワーは、構造物の大半のエレメントまたはモジュールを工場で組み立ててから、建設現場まで輸送して設置するプレハブ工法で建設されました。現場での作業は、これらのエレメントを正確に組み立てることであり、従来の建設プロジェクトというよりも、巨大なLEGOやIKEAのプロジェクトに似ています。材料の無駄を省き、再利用を容易にし、建設現場でのエネルギーを節約し、コスト効率が高く、環境に優しい工法です。

従来の工法では、基礎工事が終わると外部の足場を利用して建物を1階ずつ建設します。それに対して、ミョーサタワーでは、一度に4階分が組み立てられました。集成材構造体は建物付近の地面で組み立てられた後、吊り上げられ、中に入れられました。それから、床スラブを吊り上げ、所定の位置に設置しました。なお、使用したのは内部の足場だけでした。

高く、雄大で、人と環境に優しい。ミョーサタワーは建築産業にとって未来への一歩を示すものです。

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最後の梁が配置場所へと吊り上げられています

ANTI Hamar/Moelven Limtre AS

ミョーサタワーの概要

  • 絵画のように美しいミョーサ湖の畔に位置します。
  • 環境に優しい集成材で建設されています。
  • 主にプレハブ工法が利用されています。
  • 集合住宅、ホテル、レストラン、屋上テラスが入居しています。
  • Voll Arkitekter ASが設計、Hent ASが建設を行い、Moelven Limtre AS が外注業者として材料供給を担当しました。
  • 世界で最も高い木造建築物として、高層ビル・都市居住協議会に認定されています。